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「アイゼンちゃん!いったいどうしてこんなところにいるんですか!?」
ロノの問い掛けの意味がわからない
昔、近所に住んでいたならば、今もこの王都に住んでいるはずだ
こんなところにいたとしても、おかしなことは何もない
「はんっ!今回は皇帝陛下の御命令だから、あんたらには何も言えないのさ!」
「ええっ!?皇帝様からお仕事もらえるくらい偉くなったんですか!?」
「え、あ、言っちゃった!」
淳とユーリフは遠い目でアイゼンを見ている
―――あぁ…そういう人なんだ…
―――こういう子なのよね…
「えぇい!もういい!ゼリュー!ロノちゃ…こいつらは任せたよ!」
そう怒鳴ると、アイゼンは淳を抱える
頭は逆を向いているが、腰の辺りには、ロノやユーリフよりずっと存在感のあるそれが当たっている
「はぶっ!」
鼻血
「悪いね、訪問者さん、こいつも命令なんでね」
「!」
仰天して、淳はアイゼンを見上げる
「君…どうして僕のこと…うわっ」
アイゼンは成人男性と変わらない体格の淳を抱えながら、軽々と家屋の屋根に飛び乗る
信じられない身体能力だ
「くっ…!ジュン!」
ユーリフが彼女らを追おうと足を一歩踏み出した瞬間
軽い衝撃を足に受け、転倒してしまう
ゼリューの持つ棒が、ユーリフの足をはたいていた
「りーダーのご命令ニヨり、貴女方をコこかラ一歩も通しまセん」
ユーリフはすぐに立ち上がり、いつでも魔術の詠唱に入れるように構える
「ロノ!この子を早く黙らせるわよ!」
「うん!」
ロノも、今日買った荷物の中から物干し竿を引っ張り出す
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