薔薇の十字架

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ロノが身構えるのを見届けてから、ユーリフは胸に両手をあて、言葉を紡ぎ始める 瞬間、ゼリューの脚部バーニアが火を噴き、一気に距離を詰める それをロノが蝿を叩き落とすように竿を振り下ろし、防御せざるを得なくする が ズパン、と綺麗に竿は両断されてしまう そういえば、腕に回転鋸を装備していた だが、斜めに切られ、鋭さを持った竿を投げ、右足のバーニアの射出部に引っ掛ける バランスを崩したゼリューは、右足を擦りながらも、ユーリフに近付いていく 用途に応じて伸び縮みする棒がその手に握られている ブゥン、と風を切って振られたそれは、的確にユーリフの頭部を狙ったが、すんでのところで屈んで回避する ゼリューは棒を手放し、左足を胸に寄せる 右足に引っ掛かった物干し竿で地面を蹴り、瞬間的に加速する 右手でユーリフの左肩を掴み、腹に膝蹴りを食らわす 「ぐ…っ!」 ユーリフの口からよだれがこぼれる が、彼女の右手はぴたりとゼリューの額に張り付いている 二人の頭上に、水の塊が浮遊している 危険を察知し、バーニアを噴射させ、ユーリフから離れる つい今までゼリューがいた所に、滝の如き水流が落ちる そのまま十数メートルほど離れる バキン 鉄が破壊される音 ゼリューのレンズアイがその音の出所… 自分の左手を見る 鋭利な槍となった物干し竿が、見事に機械の腕を貫通している 「やあぁぁぁぁぁ!」 それを握るロノが、自分を軸にし、質量の高い機械人形を近くの川に向けて、遠心力をたっぷり掛けて投げ飛ばす
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