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着水する直前、バーニアを最大出力で噴射させ、川に穴を開ける
一瞬出来たその穴の底を蹴って、橋の上に戻ろうとする
が
頭上にまたしても水の塊が浮かぶ
その球体のような水から、大量の水が溢れ出る
それの直撃を受け、ゼリューは川の中に落とされる
瞬間、電気の走る音が聞こえ、水中から、震えるゼリューの腕が伸びるが、やがて完全に機能を停止させ、川底に落ち着いた
それを橋の上から、ロノとユーリフが覗いていた
以前、同じようないざこざがあった時、ユーリフの水の魔術を受け、動きが止まったのを覚えていた
だが、その時よりも確実に強い敵となっていた
「大丈夫ですか、ユーリフちゃん」
問われたユーリフは腹をさすり、しばらくして親指を立てる
「わかりました、早く追いましょう!アイゼンちゃんはもう相当遠くに行ってしまったはずです」
○
王都正門付近
ルルリットはそこでアイゼンを待っていた
既に馬車はレンタルしてある
国境さえ越えてしまえば、馬車は使えなくなっても、正式な手続きを取っている暇のない追っ手はどうしようもなくなるだろう
―――…でもびっくりしたなぁ…ましゃか訪問者しゃんがリヒト・レーゲンに入ったなんて…
ローゼンクロイツからしたら、因縁の相手であるリヒト・レーゲン
ライバルチームのリーダー同士が友達だというのは少しお笑いだが、幾度となく彼女らとは衝突してきた
元々、『三人』だった彼女らが、訪問者が加入した後も『三人』であるのには驚いたが、どちらにせよ、辛酸を舐めさせられてきた悔しさは変わらない
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