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「もおぉぉぉ怒ったぞ!ロノちゃん!」
「ろ、ロノちゃん?」
淳がアイゼンの言動に首を傾げていると、ロノが立ち上がる
「せ、背中狙うなんて…痛いですよアイゼンちゃん!」
「えぇい!ロノちゃんの物干し竿の方が痛かった!」
「いえ、私の方が痛かったです!」
「いーや、私の方が痛かった!」
「いーえ、私の」
「いーや、私の」
「い」
どぱん、と水が二人の頭に降り注いだ
「うるさいから、早く決着つけなさい」
ユーリフが、異変を感じて馬車から降りたルルリットを見ながら注意した
「わ、わかりました!アイゼンちゃん!こうなったらいつも通り、戦って決着をつけましょう!」
「え、戦うの?」
「いいよ!今日こそ勝ってやるさ!」
「え、勝ったことないの?」
○
「ルルリット!あんたは補助に回りな!」
「あいあいしゃー!」
「ジュンさん、下がっててください!ユーリフちゃん、行きますよ!」
「わかった!気をつけてね、二人共!」
「あなたに心配されるほどの相手じゃないわ」
ユーリフの毒舌とともに、アイゼンが動く
「疾走(カイパオ)!」
アイゼンの脚が地面を蹴り、信じられない速さで突っ込んでくる
彼女は真っ直ぐロノに向かい、遥か手前で一足飛びをする
そして、両膝を胸につけるように折り、溜めてから一気に両脚を突き出す
ドロップキックだ
あのスピードで直撃すれば、ただではすまない
その驚異のドロップキックを、ロノは物干し竿で叩いていなす
ロノのやや手前で着地したアイゼンは、手を地面につかない側転で、追撃をしようとしたロノの竿を弾く
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