881人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ロノちゃん、仕掛けてきな、蹴突で返り討ちにしてあげるよ」
「アイゼンちゃんこそ、疾走なりなんなりで掛かってきていいですよ、竿でばちーんとやってあげます」
なんだか妙な掛け合いだ
二人とも動きたがっていないような気がする
しかし、二人共、いたって真面目な表情をしている
―――…もしかして
淳はいやな予感がして、おずおずと口を開く
「ねえ、二人共…もしかして、もう動けないんじゃ?」
「「ギクッ」」
わかり易過ぎる
「…もう変な意地張ってないで、座ったら?」
ユーリフの提案に、二人は、賛成、と手を挙げ、座り込む
「来なよロノちゃん!」
「いやいやアイゼンちゃんこそ!」
もうなんか悲しくなってきた
「…ジュン、もう行きましょう」
「…そうだね」
淳とユーリフは二人に背を向けて、王都の中に入っていく
「あ、あれ?ま、待ってください二人共~!」
「ち、ちょっと!訪問者の兄さんは待ってくんないかい?連れ帰んないとまずいんだって!」
「そ、そんなこと言われても…」
「もういいわ、ジュン、行きましょう」
「「ち、ちょっと待って~!」」
○
『リヒト・レーゲン』ハウス近くの川
「しすテムテムニ多大なな問題あリありあリ、自律プろグラム、起動困難」
川の底からそんな声が聞こえ、通行人は訝しげに橋の下の川を覗き込む
「ストリんグスもード起動、これ、こレヨり、あイゼン・ふロいらイン、及びびび、るるりット・ガんばーと合流スマ、しマす」
ザパァ、と川から一体の機械人形が現れる
その機械人形はぎこちなく足を上げ、落とすの繰り返しで、腰から上を水面に出して歩いていく
「待ッていてクダサい、リリ、リーだー」
最初のコメントを投稿しよう!