薔薇の十字架

22/27
前へ
/1039ページ
次へ
「…ロノちゃん、仕掛けてきな、蹴突で返り討ちにしてあげるよ」 「アイゼンちゃんこそ、疾走なりなんなりで掛かってきていいですよ、竿でばちーんとやってあげます」 なんだか妙な掛け合いだ 二人とも動きたがっていないような気がする しかし、二人共、いたって真面目な表情をしている ―――…もしかして 淳はいやな予感がして、おずおずと口を開く 「ねえ、二人共…もしかして、もう動けないんじゃ?」 「「ギクッ」」 わかり易過ぎる 「…もう変な意地張ってないで、座ったら?」 ユーリフの提案に、二人は、賛成、と手を挙げ、座り込む 「来なよロノちゃん!」 「いやいやアイゼンちゃんこそ!」 もうなんか悲しくなってきた 「…ジュン、もう行きましょう」 「…そうだね」 淳とユーリフは二人に背を向けて、王都の中に入っていく 「あ、あれ?ま、待ってください二人共~!」 「ち、ちょっと!訪問者の兄さんは待ってくんないかい?連れ帰んないとまずいんだって!」 「そ、そんなこと言われても…」 「もういいわ、ジュン、行きましょう」 「「ち、ちょっと待って~!」」 ○ 『リヒト・レーゲン』ハウス近くの川 「しすテムテムニ多大なな問題あリありあリ、自律プろグラム、起動困難」 川の底からそんな声が聞こえ、通行人は訝しげに橋の下の川を覗き込む 「ストリんグスもード起動、これ、こレヨり、あイゼン・ふロいらイン、及びびび、るるりット・ガんばーと合流スマ、しマす」 ザパァ、と川から一体の機械人形が現れる その機械人形はぎこちなく足を上げ、落とすの繰り返しで、腰から上を水面に出して歩いていく 「待ッていてクダサい、リリ、リーだー」
/1039ページ

最初のコメントを投稿しよう!

881人が本棚に入れています
本棚に追加