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「アイゼンちゃんのお母さんは優秀な軍師さんで、20年前から10年くらいバシュランにお仕えしてたんですけど、ウォーガに引き抜かれちゃって…結婚以外で家族と別々の国に行くのはいけないので、アイゼンちゃんも同じ頃に…」
なるほど、と淳は頷く
しかし、国を越えての引き抜きとは
「あれ?でも軍師って…戦争でもしてたの?」
そう尋ねると、違いますよ、とロノは手を振る
「軍も、チームと同じようにモンスター退治に行くことがあるんです、いくら相手がモンスターだからって、無策ではあまりに無謀ですから」
「へぇ、チームも、モンスター退治をするんだ」
淳も煮豆を口に運ぶ
「はい、それを専門にしているチームもあるくらいですからね」
「リヒト・レーゲンはやらないの?」
その瞬間、ロノとユーリフの表情が強張る
「…前は、あの人も居たし、よくやってたんですけど…」
俯きながら、ロノは元気なさ気に呟く
「あの人?」
「一応、あなたの先輩にあたる人物…そう言えば間違いはないわ」
ユーリフが毅然とした態度で煮豆を食べる
「ちょうど、あなたが来る30日くらい前、突然行方をくらまして、それっきり…」
「…そ、そんなことがあったんだ…」
「剣の腕は立つけど、飄々としていて、掴みどころのない人だったわ」
ユーリフはくい、と水を飲む
「まあ、いない人に執着するのは良くないわ、もう私達も半分忘れていたもの」
その後、話が出来るような雰囲気にはならず、三人共黙り込んでしまった
だが、淳はやはり、その行方をくらました人物が気になっていた
どうしてその人は離れていったのだろうか、どうしてそれを自分に黙っていたのか
おかげで、明日は目元にクマが出来ているだろう
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