881人が本棚に入れています
本棚に追加
ヴァルヘイル城
「申し訳ありません!皇帝陛下!このアイゼン・フロイライン、不覚にも勅命の遂行に失敗いたしました!」
「そうか」
心の中で首を傾げた
正直、首がはねられるのを覚悟していたのだが、あまりに気が無さすぎる
よもや、呆れ返って、手を下す気にならないのかもしれない
そうなると、最悪ルルリットもアイゼンと共に国外追放、ゼリューはスクラップにされてしまうかもしれない
まあゼリューは現状がスクラップのような状態だが
「もとより、失敗は視野に入れていた、労いはすれど、罰を与えようなどとは思っていない」
一瞬呆けたが、すぐに、有難うございます、とかしこまる
「それより、おまえ達の行動、全てを見ていたが、なかなかに面白かった、任務に対する物ではないが、別の褒美はやろう」
「じ、自分のような一介の民に皇帝陛下御自ら褒美など…勿体…」
「私が、やろう、と言っている、酔狂ではあれど、冗談ではない」
全身に浴びた視線
死を覚悟した
だが、女帝は自ら箱を片手に持ち、アイゼンの目前まで歩み寄った
こんな時は、絶対的に下の地位である自分が寄るものだ
しくってしまった
「申し訳ありません!」
「気にするな、玉座から動かぬ『帝』など、置物と変わらん」
アイゼンは差し出された箱を受け取り、深々と頭を下げ、女帝の、下がれ、の声を聞いてから立ち上がり、頭を下げ、立ち去る
何日か前に呼ばれた時の様に、身体の震えが止まらなかった
最初のコメントを投稿しよう!