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ヴァルヘイル城内
ローゼンクロイツ・ハウス
「…ただいま」
アイゼンが、非常~に疲れた面持ちでドアを押す
「あ、お帰りなしゃい、リーダー、ゼリューはあと二日はかかるしょうです」
―――復旧にそこまでかかるのか…大破とまではいかなくても、相当な痛手だな
はぁ、とため息をついてドアを閉める
実は、城の客室の一つをローゼンクロイツはハウスとして使用している
それは、リーダーであるアイゼンの母が皇帝から信頼される軍師だからということが表向きの理由である
実際は、皇帝が、面白そうだ、面倒を見てやる、とおっしゃったからだ
皇帝の酔狂ぶりは陰ながら噂になっていたが、無名のチームに、皇帝直属の証である、城内のハウスを与えられるなど、国民から信頼性が問われるにので、表向きの理由が用意された
何故、皇帝は自分達のような格好ばかりのチームに目を掛けてくださっているか、とてもわからない
決して、悪い扱いを受けているわけではないのだからよいのだが
「しゃしゃ、リーダー、ご飯出来てましゅよ」
そういえば、今日の料理当番はルルリットだった
―――さて、気疲れした身体を癒してもらうかね
アイゼンは席につき、お子ちゃま料理と向き合う
○
玉座
「…ふむ、あの少年…」
女帝は、偵察用カメラで撮影した、ローゼンクロイツの活躍(?)を見ていた
―――…脚部能力特化の最たる『移動型』の突進よりも早く少女を救った…
玉座に深く掛け直す
―――…よもや、この訪問者…危険を察知したのか?…それとも…元来、人間として備わる『運動能力』が…?
しばらく脳内を無にし、しばらくして、唇の端を持ち上げる
「訪問者…おまえはどれだけ私に期待をさせる気だ?そんなに…私の物になりたいのか…?」
女帝は不気味に、かつ妖艶に微笑んだ
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