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ローゼンクロイツ襲撃から二十日が経った
今ではロノもすっかり体を回復させ、ばりばりと依頼をこなす
つもりだったのだが
「え、依頼が一つも来てないんですか?」
「えぇ、あなたが寝てる間、起きた後、もれなく依頼は無いわ」
「そ、そんな~…この有り余る元気はどこにぶつければいいんですか?」
「ぶつけなくてもいいんじゃない?」
そう、依頼はすっからかんなのである
「こ、これじゃ先月滞納した家賃も払えませんよ!」
「大丈夫、最悪、ジュンに裏の仕事やらせるから」
ユーリフが意地悪に微笑むのに対し、ロノはポカン、とする
さすがにおかしい、と感じたユーリフは、どうしたの、と尋ねる
「いえ、そういえばユーリフちゃん、ジュンさんのこと名前で呼んでるなぁ、って…」
「…?それがどうかしたの?」
「あ、そう思っただけですよ」
気にしないでください、とロノは微笑んだ
「あれ、でも、依頼が無いとすると、ジュンさんは?いないみたいですけど」
「ああ、ジュンなら…」
○
市街中央広場
その名の通り、市街地の中心にあり、とても広い
直径50mの大噴水が水を噴き出している
バザーも多く立ち並び、商人達は通行人の目がつきやすい噴水周辺を陣取り、それぞれ商いをしている
活気に満ち溢れたその中に、一人だけ異様な存在感を放つ一人の男がいた
『御依頼ならなんでもござれ!リヒト・レーゲン』
というプラカードを恥ずかしげに持つ淳
顔が真っ赤である
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