暗き洞にて

6/30
前へ
/1039ページ
次へ
国境を越える依頼は、原則として受けることが出来ない それは、地球で言う治外法権に似た物でもある 簡単に言えば、全ての国はそれぞれ法律的に切り離されている 軍はもちろんのこと、かなり自由な行動が出来るチームも、活動をするのに、300日に一度、国家に、活動を認可してもらう必要があるので、その意味では国家に属していると言える 国家同士は互いに、護衛やモンスターからの街道解放を除く、『国家内で遂行出来る事象』は、絶対に国家内でさばく こうすることで、四つに分かれた大国同士、協力する理由を作らないようにしている 二つの大国が手を結び、力であと二つの大国をねじふせることが無いわけではない 実際、この決まり事が無い時代、バシュランとアルバシアが結託し、領土拡大のために、五つ目の国を侵略した過去がある その後はバシュランとアルバシアが世界を統一したが、滅亡した国の民を含む反発組織があったため、完全な統一は出来なかった 結局、統一した国同士が離れ、世界は元のような過剰な干渉が無くなった これらのことを踏まえ、定められたルールに従い、ユーリフはノイスの依頼は受けられない、と言っているのだ バシュランと、国としてではないが、他の三国家から独立しているレタナ族 依頼を受けられない理由として、しっかり当てはまっている 「ごめんなさい、出来れば受けたかったんだけど、私達は国に逆らうようなことは出来ないの」 いくら子供と言えど、通る要求には限度がある、と感じたようだ 口を真一文字に結んで、強く噛む そこに、淳は不思議な思いを感じた 子供らしからぬ、強い決意だ ユーリフは立ち上がり、ノイスと向き直る 「本当に申し訳ないと思うけど、諦め」 「待ってユーリフ」 彼女の後ろで傍観していた淳が、肩を掴んだ ユーリフはやや強引に彼の手を退けると、少し睨んだ
/1039ページ

最初のコメントを投稿しよう!

881人が本棚に入れています
本棚に追加