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「もしも、もしもだよ?この子の依頼が、国内の依頼だったら?」
ユーリフは呆れたようにため息をついて、頭を振る
「いい?いくら国内の依頼でも、達成するためにウォーガとかに行く必要があったら、それは勅命や、上位軍の仕事よ、私達みたいな小さなチームには出来ないの」
「なら、それを聞けばいいんだね?」
ぴく、とユーリフの眉が動く
「…そう、ね」
彼女は一瞬、バツが悪そうな顔をして、そっぽを向いてしまう
淳は微笑んで、ノイスに向き直る
「じゃあノイス、依頼したい事を言ってごらん?」
「…依頼、受けてくれるの?」
「それは…出来ないものかもしれないけど、話だけでも聞かせてよ、中央広場からずっと僕の後ろについてきたくらいだもの、それほど、助けてほしいんでしょ?」
えっ、とロノが驚いたように口を押さえる
「そうだったんですか?だから帰りがこんな遅くに…」
淳は少しだけロノを振り返り、頷く
そして、もう一度ノイスを向く
すると、一瞬見ぬ間に、ノイスの顔は涙でくしゃくしゃになっていた
当然、淳は慌てる
「え、あ、ごめ…こ、怖い顔してたかな?」
淳は必死に自分の顔をぺたぺたと触る
そんな淳を見かねたユーリフがノイスの前で屈む
「さっきはごめんなさい、出来る限り、対処はするから、依頼を…」
「………を…けて」
ぽつりと呟いた
鳴咽が混じり、よく聞こえない
「どうしたの?誰か、怪我でも…」
「お願いします!お姉ちゃんを助けてください!」
はっきりとした口調でそう叫ぶと、ノイスは再び泣きじゃくり始めた
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