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「お姉ちゃん、って、君のお姉ちゃん?」
淳が確認すると、ノイスはコクン、と頷く
「…話を聞かせてもらえるかしら」
ユーリフが微笑むと、ノイスは目を輝かせ、淳は目を丸くする
そんな淳の言いたいことがわかったのか、ユーリフは少し淳を振り返る
「どうもこの子の顔を見たことがある、と思ってたけど、今思い出したわ、この子、バシュランに住んでるのよ」
「えっ?そうなの?」
淳は驚き、ユーリフは頷く
「レタナ族は国として独立してないから、世界中にいるの、だから、バシュランに住んでいたり、移動民族化しているレタナ族の集団もあるくらいなの」
ユーリフは人差し指をピンと立てる
「ほら、ローゼンクロイツのリーダーも、バシュランからウォーガに移民した、って聞いたでしょ?あれと同じ」
そして、ノイスに向き直る
「それから、この子を見た、っていうのは、買い物をしてるのを何度か見た覚えがあるの」
「そうだったんだ…」
そこからユーリフは淳のことを無視し、ノイスと話し始めた
疎外されたことがなんとなくわかったのか、淳はしゅん、とうなだれる
「それで、助けて、って言うのは、お姉さんが危ない、ってこと?」
ノイスは頷く
「モンスター?それとも事故に遭って身動きが取れないとか?」
「…どっちも違う…」
む?とユーリフは怪訝な顔をする
「もしかして、金銭…お金を貸してほしいの?」
そう聞くと、ノイスはぶんぶん、と頭を振る
じゃあ何なの?と尋ねようとすると、ノイスが顔をゆっくりと上げた
「…実は…レタナ族の禁忌の洞窟に入ったの」
「…禁忌?」
何やら物騒な単語に、ユーリフは眉をひそめる
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