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「最近、王都から出て少し歩いた所にある洞窟から、嫌な雰囲気が漂ってるから、お姉ちゃんが様子を見に行ったの」
「それから、帰ってきてないのね」
コクン、とノイスは頷き、目に涙を溜める
「そこが、禁忌だと言われるのはどうして?」
「昔、レタナ族のことが嫌いな怪物がそこに住んでいた、って言われて、今も生きてるんじゃないか、って…」
なるほど、と淳は頷く
だから、近づかないようにしたのか
「わかったわ、あなたは自分の家で待ってなさい、その洞窟へは、私達だけで行くわ」
「…うん、お願いします…」
ノイスは涙をぐい、と拭いながら、頭を下げ、ハウスを出た
すかさず、ユーリフは立ち上がる
「ジュン、支度、頼んだわよ」
「あ、うん」
淳は素早く2階へ上がり、失礼ながら、ユーリフの部屋に入る
彼女の部屋には、傷を癒す薬草や、精神力を高めるお香の葉がある
それらは、これから怪物がいるであろう、洞窟に向かうには、なくてはならない物だ
その他にも、モンスターを遠ざける『界術』を発動する『術式』や、爆竹、地図を袋に入れる
一方のユーリフ達は
「明日の朝、早くに発ちましょう、じゃないと、無駄にモンスターに遭うはめになるわ」
「わかりました、それから、ジュンさんはどうします?」
「連れていくわ、荷物持ちが必要だもの」
淡々とユーリフは言ってのけたが、ロノの関心はそこではなく
「そうじゃなくて、もし、怪物と闘わなきゃならないような状況になったら、どうするんですか?」
ぴた、とユーリフの動きが止まる
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