暗き洞にて

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近付くと、その小ささはより一層際立った 小さすぎる おそらく、入れるのはユーリフだけだろう 「どうしましょう…こんなに狭い穴だなんて…」 ロノが穴を覗き込みながら唸る 「この穴は獣道で、もっと大きな穴があるんじゃないかな」 淳がロノの後ろから意見を述べる 「たしかにね、見たところ、元々こういう穴だったみたいだし、ここだけが入口じゃないかもね、探してみましょう」 ユーリフの号令で、三人は別れて、周辺を探索した しかし、一向に見つからない 文字通り、草の根を掻き分けて探したが、それらしい穴は先程見つけた獣道くらいだった そうなると、あの穴に入らなければならない 「参ったなぁ…僕はともかく、ロノが入れないとなると…」 ユーリフから、激しい視線を感じる 「でも、ここ以外に穴は見当たらないんですよ?そうなると、ユーリフちゃんだけでも入んないと…」 ロノが率直に言ってのけると、ユーリフはその肩に手を置いた 「二人共…それは私が小さいと…」 「違いますよ、穴が小さいんです」 「どっちでも同じよ!」 つい、とそっぽを向かれてしまった 他意は無かったのだが 「でも、掘ればなんとかなるんじゃないかな、穴を広げてさ」 淳が提案するも、ユーリフにはたかれてしまう 「そんなことしたら入口の土が脆くなって、崩れるでしょう、生き埋めになりたいの?」 「う…な、なりたくないよ…」 そうでしょう、とユーリフは冷たく言い放つ それきり、彼女はまた淳から視線を逸らした やはり、ユーリフ一人で突入すべきか そう考えていると、淳は遠くにある岩に違和感を感じた
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