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「ん…あれは…」
淳は、目に付いた岩に歩み寄る
「ジュンさん?何か見つけたんですか?」
「あ、うん…これ、おかしい…よね?」
ロノとユーリフも岩に近寄る
「ここ、砂の塊がすり潰されたみたいになってるでしょ?」
淳が指差した所で、ユーリフはしゃがみ込む
「…たしかに、何かが動いたようね…ジュン、あなたは、この岩が怪しいと思うの?」
ユーリフの確認に頷いた淳は、岩を手の平で叩いてみる
硬質の触り心地だが、何か軽量感がある
「動くのかな…」
おもむろに岩に手を添え、力いっぱい押してみると、岩は軽く、予想を覆された淳は前のめりに倒れ込んでしまう
あまりに予想外にごろりと転がった
岩の裏には、大きな横穴があった
さっきの獣道より大きい穴だ
「わぁ、ジュンさん、すごいです!」
「う、うん…」
淳のお手柄に、ロノは彼の手を取って喜ぶ
「よくやったわね、さ、入るわよ」
ユーリフが、素っ気ないながらも淳を誉め、先に穴に入る
「あっ!ユーリフちゃん、待ってください!」
慌ててロノも穴に入り、淳も荷物を引っつかみ、それに続く
○
穴の内部は、凹凸が激しく、上下の幅も狭く、淳は少し頭を下げなければ通ることは出来なかったが、女子メンバー二人は楽に歩いていく
「すごいですね、広くはないですけど、奥行きは感じます、もしかしたら、あの子のお姉さんも、ここを通ったんじゃないでしょうか」
「そうね、身長の高いレタナ族でも、この穴は通れるかも…」
ユーリフが天井の突起を避けると、ロノも避け、淳だけがぶつかる
「んがっ」
しかし、女子二人は全く気にする様子はない
少しだけ傷付いた
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