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「おーい、悠、こっちこっち!」
ざわざわと騒がしい講堂で、周りよりも一回り小柄な内藤 明(ナイトウアキラ)は、
ひときわ大きな声を出して手を振った。
悠、と呼ばれた声に反応したのは、柏原 悠(カシワバラユウ)。
小柄な体、小さな顔に似合わない大きな眼鏡をかけた少年は、
慌てて声の主の元へと走り寄る。
「明っ、声が大きいよ。」
羞恥にほんのりと頬を染めた悠は、
身長は自分とさして変わりないくせに、誰よりも大きな声を出す明にこっそりと注意する。
「ごめんごめん、それより、ここ空いてるぜ。」
あまり悪いとは思っていないであろう明が、自分の隣の空いている椅子を指差して言う。
やれやれ、と悠は一瞬苦笑するが、
「ありがと。」と自分のために席を取っておいてくれた明に礼を言い、腰を下ろす。
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