KAZUTO VER.

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「簡単に刺さるわ」 サクッ、サクッと 楽しみながらスプーンをかき氷に落とす 「削った氷だからな」 彼女は常に理解不能な思考をしていて そこもまた好きな理由だった 煙草に火をつけて彼女を見つめた 「まるで、白い肌に突き刺さった刃物から流れる血液のようね」 サクッ 「…そう」 彼女の口癖はこうだ 「貴方を一度此の手で殺めてみたいわ。きれいでしょうね」 決まって獣になった夜にソレを呟く 「君の好きなように」 刃物で腕を裂かれたこともある 「貴方の血液はきれい」 汚れ無き血だと彼女は笑う 「ねぇ、人は簡単に死ぬのよ」 サクッ 「最近いつもより激しく思うの」 サクッ 「貴方を殺めたい…」 かき氷を一口 口に運びいれる 甘い味覚は彼女を笑顔にさせた 「素晴らしい味よ。美味しい。」 「良かった」 揉み消した煙草は煙すら出さなくなった
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