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彼女は店員を呼び美味しさを伝え耳打ちでなにかを告げた
店員はにやりと笑った
なにを話したのときいても
長く美しい人差し指を唇につけ「秘密」といった
かき氷をつぎつぎに食べる
暖房も暖かくなってきた
口の端についたイチゴジャムはまるで血液のようだった
瞬間、店員が彼女に手渡したモノを首筋に滑らす
「きれい」
痛みすらないのに暖かな液体が流れ落ちる
氷のように冷たい唇を合わせた。
ひんやりとした感覚
離れたときの暖房の暖かさ
店員に包丁を持ってくるよう頼んだのだろう
店員も気軽に渡したわりには
平然としている
次は腕を
次々に裂かれる皮膚を横目に
かき氷の入っていたお皿を見つめた
お皿の中には少しのイチゴジャムが残っていた
「最高ね、貴方をかき氷のように出来るなんて。はじめましょう」
裂かれた皮膚から出る液体は止めどなかった
微かな冷ややかさが唇から抜けなかった
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