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浮気の基準ってなんだ。
そんなことを考えながら空を見上げ土手を歩く男は、紫から群青に変わる空をみてもなんの感慨も浮かばない。
「ほら、前みないとまたこけるよ」
常よりよくよそ見をしながら歩く男の手を引いているのは、4年と7ヶ月という月日、男の面倒をみている恋人であった。
「なぁー。」
「ん?」
「また女とやっちまったー…」
「………」
「いっ、うお!!」
男は土手から転がり落ちた逆さの状態のまま、こちらを見て大笑いしている恋人が助けにくるまで笑い続けるその姿をじっとみていた。
「…おまえは俺んこと……まだ好きなんかなぁー…」
男の呟きは横を歩く蟻だけが聞いていた。
白 空 、
自分の恋人が浮気をし始めたのがいつからだったか、小百合は考えても思い出せなかった。それほど小百合の恋人は4年と数カ月の間、他の女性と遊ぶことが多かった。
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