疑い

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考えたくないんじゃない。 今の私は、無意識の内に結論は出ている事を認めたくないだけだった。 優しく真面目な達哉のメール。 こういうメールの時は必ず何か起こる。しかも、私がどう足掻いても無駄なのだ。 過去、何度か経験している。留学した時、浮気を疑って別れ話になった時、就職が地元じゃないと知った時…。 達哉の頑なな意思の元にメールが送られ、話し合いになり、私は納得せざるを得なかった。 今回もまさにその前兆のメールだ。しかも今回、その内容が志保には1つしか見えてこない。 今日1日、仕事をしていたのか、何をしていたのか定かではないくらいに意識レベルは低下していた。 自分で我に返ったのは既に日付が変わった夜中の自分の部屋。涙が溢れていることに気づいたから。 「泣いちゃったら、受け入れたと同じじゃない…。ダメだよ、まだ泣いちゃ。まだ…、別れたくないよ…。尚子だって、大丈夫だって言ったじゃない!信じなくちゃ…っ…。」
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