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「あ…、何かマジやばいみたいだな。すまん。」
やっとかよ。おせーよ、気づくの。
「うん。久々イラっとしたわ。もう少しで晶に当たるとこだったわ。ギリセーフ。」
「マジっすか。すいません、達哉さん。…で?アメリカ帰りで、テンション高いはずの達哉が、何?これ。どうなってんの?俺、かなり待ってたんだけど、これでも。」
あ、そうだった。帰ってきた夜に買い付けと向こうで得た情報を報告するって約束してたんだっけ。
その代わりに、開業の手続きを手伝ってくれることになっていた。
自分もどうせやらなきゃいけないから、一緒にやってやる…って言って。
「あ、忘れてたわけじゃなくて…、ごめん。ちょっと、それどころじゃなくてっていうか、俺、ヤバい。どうしよ。なぁ、どうしたらいいんだ?」
自分で何を話してるのかわけがわからない。
「いや、別に急ぎじゃねーし、謝んなくていいけど、何があったわけ?達哉にしては珍しいな。何焦ってる?」
焦ってる?俺が?
「俺、焦ってるか?何で?」
「待て待て。質問を質問で返すな、アホ。実際どうかわからんが、焦ってるようにしか見えないよ。何があったか順を追って話せや。あ、てか、今から行くわ。買い付けたやつも見たいし。それまでに整理しとけ、おまえの頭。じゃな。」
こんな時だけお兄さんぶるなよな。
でも、今の俺にはものすごく有難い温もりだった。
志保を迎えに行く為に頑張ってきたのに、ゴールがなくなったら、俺は何処に向かって走ればいい?一人で突っ走ってきた俺には、道が見えなくなった暗闇が怖くて寂しくて辛くて仕方がなかった。
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