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俺は帰ってきて感じ取った事を全て話した。
確認はしてないから憶測の域は出られずにいるけど、間違いない。志保の考えてる事なんてわかる。
「そっか。じゃ、まず確認っと。」
今まで黙ってビールを飲みながら聞いていた晶が、突然立ち上がり玄関に向かう。
「あったよー、郵便受けに鍵。さすが達哉だな。そんだけわかってて何で手放す?ってか逃げられる?前兆があっただろうよ。」
カツン。
テーブルに鍵を置く。
現実を突き付けられたように、胸が苦しくなる。
「…っ。」
涙が溢れそうになって、思わずに唇を噛んだ。
これ以上晶に弱い自分を見せたくなかった。いくらダチでも共に夢を追うライバルだ。
「前兆か…。わっかんねぇ。でも、アメリカでダチに言われたなぁ。志保が悩んでるって。」
そう。全てを話すと決意して行ったアメリカで、尚子に言われた。でも俺は、きっとまた職探しもしないで旅行に行ってって怒ってるんだと思ってた。メールの返事も志保にしては味気なかった。
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