第2章

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腕が痛みでビクビク痙攣する。 生暖かい血が腕を伝い手の平に流れて来た。 このままでは、血のせいで剣の柄が滑り戦えない。 ウォルターは舌打ちをすると少女を解放し剣を持つ手を変えた。 左はあまり使わないが差し支えは無い。 「お前は下がれ」 ウォルターは少女の顔を見ずに言い放つ。 「・・・」 返事が無い。 ウォルターは納得する。 こんな状況になれば人間だったら恐ろしくて何も言えないだろう。 ウォルターは少女に構わず今だ倒れ込んでいるユウの元へ歩き出そうと一歩踏み出す。 その時、右袖を引っ張られウォルターは歩くのをやめて振り返る。 もちろん袖を掴んでいるのは先程助けた少女。 「何だ?」 無表情で冷たく言い放たれ少女はビクッと肩を震わす。
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