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「・・・逃げられたか」
ウォルターは小さく舌打ちをすると少女の方を見た。
「放せ」
まだギュッと掴まれた袖を煩わしそうに引っ張る。
呆然としていた少女は我に返るとウォルターの袖を放す。
「助けてくれてありがとう」
「・・・ふん」
ウォルターはそれだけ言うと少女に背を向けて歩き出そうとしたが、再び少女に引き止められた。
「まだ、何かあるのか?」
「怪我してるから手当しなきゃ」
「あっそ」
ウォルターは素っ気なく言う。
「あっそって・・・怪我見せて。まず止血しなきゃ」
「お前には関係ない。放せ」
「私の名前はリム。お前じゃないわ、半死神のウォルター」
少女・・・リムはウォルターを睨み付けた。
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