序章

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雨音が鼓膜を揺さぶる。 雨が身体に付着した血をどんどん流していく。 彼は足元に倒れているモノを無表情に見つめる。 虚ろな紅く染まった瞳が雨に打たれていた。 紅い瞳は死神の証。 これは動かなくなった死神。 死神の心臓には剣が突き刺さっている。 白銀の刀身に真っ直ぐ打ち込まれた赤い鋼。 珍しいデザインの剣だ。 彼は剣の柄を握り死神からそれを引き抜く。 剣を抜かれたことにより死神に空いた穴から血がドロッと流れ出す。 彼は顔色一つ変える事なくそれを見届けた後剣を振り血を吹き飛ばすと鞘に剣を収める。 彼の左目には片眼鏡が着けられているが雨により水滴がたくさん着いている。
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