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彼は煩わしそうに片眼鏡を外すとポケットにしまう。
緑のレンズのそれが外され顔を出す瞳。
その瞳は紅く染まっていた。
右は黒。
左は紅。
半死神だ。
彼の頭の中でクツクツ笑う声が聞こえた。
彼は嫌そうに顔を歪める。
初めて彼が見せた表情。
《また一つ壊したなウォルター?》
楽しそうに[声]が語りかけてくる。
ウォルターと呼ばれた彼は歩き出す。
「黙れ、ターン。お前と会話する気などない」
低く冷たく言い放つ。
ターンと呼ばれた[声]は黙るどころが楽しそうに笑う。
《この五年間、お前はたくさんの死神を殺し続けた。昔の"仲間"がこれを見たらどう思うかな?》
ターンが"仲間"を強調させて言った。
ウォルターはそれに小さく嗤う。
「俺に仲間などいない。今までも・・・そしてこれからも」
ウォルターはそれっきり口を閉ざし一言も声を発する事なく暗闇の中に消えた。
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