84人が本棚に入れています
本棚に追加
/451ページ
ウォルターは頭を押さえる。
リムは申し訳なさそうに俯く。
「ごめん・・・」
「いや、大丈夫だ」
ウォルターは袖を捲くりあげると傷の上に手を翳す。
『忌ま忌ましいこの傷を痕を残す事なく消し去れ・・・ケアルディーテ』
ウォルターの呪文と同時に手の平から暖かな光りが生まれ、傷口を癒す。
ウォルターが手を退かせばそこにもう、傷は無かった。
リムは息を飲む。
「魔法・・・」
ウォルターは袖を戻しながら肩を竦める。
「簡単な魔法だ。そんな驚くことはない」
リムは首を横に振り、さっき光りが生まれたウォルターの手を掴み撫でる。
「魔法が使えるのいいね。・・・魔法が使えれば大切な人を救える」
リムは深く俯き呟く。
最初のコメントを投稿しよう!