Blue Bird

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「……俺は……」 アンジェラは青い鳥の返事を気にして顔を上げる。 青い鳥はアンジェラの涙で濡れた顔をもう一度よく見る。 「……いや、だめだ。俺はここには残れない。」 「え……?」 青い鳥の余りにもはっきりした否定にアンジェラは一瞬固まり、そして崩れ落ち た。 「……何で…?何でなの…?」 「……悪いな、俺は一つの場所には留まれない渡り鳥。また次の戦争が起きている場所へ飛んでいく。」 青い鳥は崩れ落ちたアンジェラに目線を合わせ苦笑いする。 「私……また一人でこの国を守らないといけないの?」 「………」 アンジェラの辛そうな顔を見て青い鳥は昔の自分を思い出す。 一国の王でありながらその運命……いろんなものから逃げ出した自分を…… 「お前は1人じゃない。俺がいなくてもお前にはあいつらがいる。」 青い鳥はアンジェラに耳を澄ますように言う。 耳を澄ますと家臣たちの声が聞こえてきた。 「私を探しに……?」 アンジェラはそこで勝負のあとをすっぽかしてきた事を思い出す。 「姫様!」 近衛騎士団長のクローゼがアンジェラの姿を見つけ駆けてくる。 「お~い!お前!ちょっとこいつ借りるから!!」「「え?」」 青い鳥の言葉にアンジェラとクローゼの声が重なり、アンジェラが意味を理解する頃には青い鳥に抱えられていた。 しかもお姫様抱っこで…… 「んじゃしっかり掴まってろよ?」 「へ?ちょっ……ちょっとぉ~!!」 アンジェラを抱えた青い鳥はそのまま空へと駆け上がった。 「ゆ……誘拐だぁ~!!!」 クローゼはしばらく呆然とその場に立ち尽くしていたが我に返りそう叫ぶ。 追いかけようにも相手は空を飛んでいきもう姿は見えない。 「ひ……姫様ァ~~~!!」 クローゼには叫ぶしか手段がなかった。
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