Blue Bird

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私の願いが神様に通じたのか、固まっていた体が急に動くようになった。 ただ動いたのはいいのだがアンジェラの体は勢いで止まらず、青い鳥に抱き付く形でなんとか体を支える。 青い鳥は驚いて元の人間の姿に戻る。 「……あっ……」 「……お、おい?」 喋りたいのに舌が上手く回らない……頭の中で沢山の言葉が渦巻くが喉を通る辺りで言葉は萎み、口がぱくぱくする。 (いや……っ!凄く……恥ずかしい……) アンジェラは訳が分からず、顔を見られたくなかった為に、青い鳥の胸に顔をうずくめる。 青い鳥の手はどうしたら良いんだと、誰かに問いかけるように宙をぶらぶらしている。 (いやっ……私、どうしちゃったの……青い鳥を離したくない……!) 「アンジェラ……さっきも言っただろう。俺はもういかなきゃいけない。けど……お前が強いって思った俺は……バカだったみたいだな。」 青い鳥はアンジェラの頭を撫でて苦笑する。 「一つだけ……俺が叶えられる範囲で願い事を聞いてやるよ。」 「え……?」 「お前の国を助けたのは俺自身が勝手にやったこと……」 「青い鳥の仕事は見つけた者の願い事を一つだけ聞いて幸せを与える事だ。さっきお前は森の中で俺を見つけ出した。」 青い鳥は指を一本立ててアンジェラに笑いかけた。 ―その笑顔を見ていたい……ずっと私の側にいて欲しい……― アンジェラの胸を過ぎったのはそんな願いだった。
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