三.優しい顔をした少女

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 天気予報が外れ、午後になったら雨が上がった。外に出る支度を済ましたら、目的地を決める。(行く所は駅しかないのだが)自宅を後にして、駅に向かう。  駅に向かう途中、広美に行きあった。 「これからどこに行くの。」 「ちょっと駅の方までね。」  そう言ってその場から立ち去ろうとしたが、またしても広美に話しかけられた。 「駅に行くんだ。買い物に行くの。それだったら私は今、暇だから付き添うけど。」 「買い物じゃないよ。駅に大事な用事があって行くんだ。じゃあ、急いでいるから。またね。」 「そっか。大事な用事だったら邪魔しちゃいけないよね。じゃあ、またね」 わかってくれたみたいで、軽く挨拶をして広美と別れることにした。  駅前に着く。駅前は人が多く、色々な音楽がスピーカーから大きな音を出していて賑やかだ。  この前、彼女がギターを弾いていた所に一目散に走って向かう。今日はいるだろうか。階段に座って、本を見ながら真剣にギターを弾いているだろうか。上手く話かける事ができるだろうか。そんな事を考えながら走っていると、目的の場所に着いた。  目の前にいたのは紛れもなく先日の墓参りの帰りに見た、長身でショートヘアーの髪型をした女子高生がギターを弾いていた。彼女は先日と同じ本を見ながら、よく見ると弾きながら歌を歌っている。 気付かれないように近づき彼女の目の前に座って話しかけるタイミングを計ることにした。 「その歌って、YIUの歌でしょう。」 「…え。」 話しかけた事によってギターの音が途中で途切れる。 「そうだけど。よく知っているね」 「売れている歌手ぐらい小学生の僕でもわかるよ。」 ギターをコンクリートの上に置き、彼女が僕の方に向いて話しかけてきた。  「ギターを弾きながら歌のって難しくないの。」 「難しくないよ。ほら、本に書いてある通りにコードを弾いて歌えば合うのよ。ああ、コードって、これね。」
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