二.灰色の学校と茶色の駅

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翌日、いつも通り七時に目覚まし時計が鳴り目を覚ます。小さい頃からの習慣なのだ。 いつものように学校に行く支度をし、一階のリビングへ下りる。既に食卓の上には朝食が並べられていて食べられるようになっていた。 「おはよう、草太」 「おはよう、お父さん」 軽く交わし所定の位置に座る。今日の朝食はトーストに牛乳だけだった。お母さんがいた頃は、そこに目玉焼きや生野菜が食卓に並ぶのだが朝の忙しいお父さんはそこまではしないのだ。 「お父さんはそろそろ仕事に行くけど、片付けは帰ってきた時でいいからね」 そう言い残し、お父さんは出勤した。家には僕一人きり。いつものことながら、なんだか寂しい。この感情は、お母さんを失ってから現れた。  学校の通学路で仲の良い女子に行きあった。その子は学年で成績優秀でいつもその子に勉強を教えてもらっているのだ。名前は高橋広美という。 「おはよ~」 「おはよう」 少し気の抜けた女の子で見た目からして勉強ができなさそうだが意外と出来る。 「今日はポニーテールなんだね。似合っているよ。」 髪型を褒めると何か嬉しそうな顔をしている。 「ありがとうね」 自宅から学校まで約三十分で着く所まで通っている。その間、通学途中でクラスメイトと行き会い一緒に学校に向かうのだ。 学校のチャイムが鳴り響く。授業中も駅に行くことしか考えていなかった。学校から駅は正反対で家に帰るより時間がかかる。 放課後になる頃には既に、あたりは夕焼けになっていた。スクール鞄を背負ったまま駅に一直線に向かう。何故だか心が揺らぐ  駅前に着いて辺りを見渡したが、いなかった。駅の中も見回ってみたが、やはりいなかった。 「今日はいないのかな。」 西口の階段、昨日彼女が座ってギター弾いていた辺りに腰掛け、少し待ってみることにした。  現時刻は十七時。そろそろお父さんが仕事から帰ってくる時間だ。一時間前の十六時より周辺がにぎやかになってきた。仕事帰りの男性、制服を着た女子高生などが多くなり辺りが人で多くなってきた。
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