二.灰色の学校と茶色の駅

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「今日は雨かぁ…最悪だなぁ。」 翌朝の今日は雨で自宅の窓に雫が付いている。 週末の今日は雨が降っているので、どこにも出かけることができない。もちろん、駅にも 行くこともできない。 「雨が降っていると、どこにも出かけることができないから嫌い。」 お父さんは週末でも忙しければ仕事に行ってしまう。唯一、お父さんと時間を過ごしていられるのは日曜日だけで、普段は夜にならないと一緒にいられない。 テーブルの上には「今夜もおそくなります」というメモ書きが置かれている。  無音のリビングには、止むことのない雨の音だけが響いている。  ノートパソコンに手を伸ばし電源を入れる。駅前で彼女が弾いていた曲は何なのか調べることにした。 マウスに軽く手を添えてテーブルの上で滑らせる。 「カチカチ…カチカチ。」  Yahoo!!Japanのホームページに行き、検索で音楽サイトに入り調べることにした。彼女が弾いていた曲からして、まずジャンルでロック系はないだろうと考えた。そうすると、ソロ活動をしているアーティストの可能性が高い。  検索と試聴を繰り返しているうちに、あるアーティストの曲だとわかった。デビューしたてから売れている女性アーティストだった。  そのアーティストは、出身が福島県で幼少時代に歌詞を書き始めたのがきっかけでギターを始め才能がある為か、音楽業界にスカウトされ今に至っているそうだ。 「この人の曲だったんだ。」 僕はそう思いつつ調べごとが済んだのでパソコンを閉じることにした。電気代が掛かるせいか自宅では調べ事をする以外にパソコンの使用が許可されていないのだ。  雨は止むこともなくただ、降り続いている。
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