7。

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もはや俺は、 乾いた笑いで誤魔化す事しかできなかった。 何か言いたそうな二人であったが、 口を閉じる。そしてまた開いた。 「愁、何かあったらいつでも言ってくれ。…言わない方が心配することもある」 「そうだよ愁ちゃん。頼りないかもしれないけど…、それでも何かできるかもしれないし」 二人の言葉はアイツ等を思い出させる。 本当に。 だから心配してくれてるのも、 本心でそう言ってる言葉であるのも 理解できる。 気持ちが、なんか、落ち着かないな。 なんつーか。 気恥ずかしいっつーか。なんつーか。 俺が怪我した時の アイツ等の慌てっぷりなんかも 思いだしちまって、 少し胸が苦しくなった。 アイツ等と二人はホント良く似てる。 特に心配性なところとか、な。 「二人は…、本当に優しいですね。……その優しさに、少しだけ、頼っても良いですか?」 俺は、そう二人に切り出した。 その様子に身構える律と圭吾。 「やっぱり、何かあったのか…?」 圭吾がジッと見つめてくる。 律も負けじと身を乗り出してくる。 「ええ。実は」 嗚呼、ホント、 なんて、良い奴らなんだろうなーコイツ等は。 俺は、そうしみじみと思う。 「その、実は、…パンが一つしか買えなくて」 深刻そうに言った俺の言葉に、 一瞬二人のリアクションも遅れた。 「「…へ?」」 .
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