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  今、職員室に向かってる。 ……一人で。 爽輔さんは 『……ホントは一緒に行きたいんだけど…仕事を終わらせないといけないから……ごめんね?』 と、抜かしやがり 俺に職員室の場所と 担任の先生の名前を教えた。 仕事が忙しいなら 何故っ、最初から俺を 職員室に行かせなかった。 マジ、時間無駄にした。 まぁ、いい。 今更グチグチ言っても 体力の無駄だよな。 理事長室から職員室までは 意外に近かった。 これには少し驚いた。 でも近いって良いよな。 さらに、着いた職員室も 意外に普通で驚いた。 理事長室が無駄に豪華だったから 職員室もそんな感じなのかと 身構えていたが、 前の学校の一般的な職員室と あまり大差なかった。 と言っても ドア越しに見た様子だけどね。 ……なんか、逆に拍子抜け。 まぁ、でも、良かったかもな。 これなら先生も普通だろうから。 俺は一旦考えを止め 職員室のドアをノックした。 コンコンッ 「失礼します」 俺が中に入ると 職員室にいる先生方が 一斉に俺の方を見た。 そして俺の近くの席に座ってた 一見ホストぽい人が、俺に話掛けてきた。 「君、転入生の子?」 「あ、はい。神崎愁です。よろしくお願いします」 そう言って いつかの様にペコリとお辞儀をした。 そして顔を上げると 目をこれでもかってぐらい 見開いて驚く人、数名。 口をポカ~ンと開けて 驚く人、数名。 顔に出さない人、数名。 チッと舌打ちした奴、数名。 財布を取り出した奴、数名。 まいどあり♪と機嫌良い奴、 数名。 …反応が明らかにおかしい奴等が居て 意味が分からなかったが、 それも一瞬のこと。 極めつけは またもや俺の近くに居た先生が 俺に向けて発した言葉だった。 「お~い転入生。なんでお前黒髪なんだよぅ。空気を読め、空気を。お前が黒髪のせいで、 俺の札が一枚無くなっちまったじゃねぇかっ! ちっ、今回は俺の一人勝ちかと思ったのによぉ」 …―先生は普通だろう… そんな 淡い期待を持ってた時期が 確かに俺にもありました―……。 .
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