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ある日、人が死んでいました。
道を歩いていると、人が死んでいました。
たくさんたくさん死んでいました。
ボクは死体さんたちをよけて歩きました。
死体さんたちはうぅー、とうなっていたり
片目が取れていたり。
コロコロコロ。。
ボクの足元に目玉さんが転がってきました。
目玉さんはボクの足に当たるとじっとコッチを見ていました。
返してあげなくちゃ、ボクはそう思って目玉さんを拾い上げました。
そして、2.3体の死体の上に乗っかっている死体さんに手を伸ばして
目玉さんを渡しました。
死体さんはゆっくりゆっくり手を動かして、目玉さんをとろうとしました。
ビクンッ
目玉さんを取ろうとした手が痙攣を起こしました。
片目の死体さんの下の死体さんが片目の死体さんのことを強く睨んでいたのです。
その目は冷たく、鋭く、・・生気がないぶん人形のような瞳でした。
「がんばって!」
ボクは片目さんに言いました。
硬直していた片目さんはボクの声にまたビクンッとして、ボクの方を見ました。
そしてゆっくりゆっくり・・・
ボクの手のひらから取れた片目を取るを、ぐぐっと自分の目に押し込みました。
するとサァーっと周りの死体が消えて、
片目だった死体さんはみるみるうちに肌色を取り戻して生きました。
体中が元の肌色になると、片目の死体だった人はボクのことを見下ろし
ボクにそっと手を差し出しました。
ボクはニコッっと笑って言いました。
「どこいってたの?おかあさん」
落上→終
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