Retrace

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小夜の虚空を裂く 孤月に手を翳しても 届くことはなくて 指先は空をさ迷う 記憶の海の中で 微笑む貴女を見つめ 頬を伝う涙は 一筋の光となる 消えない傷跡が 今も胸の中で疼く 記憶に縛られた 動かぬ歯車を今・・・ 壊して・・・ 揺られて揺られて時の揺り籠で 見つめた世界に貴女探し求め 雨夜の月のような貴女を想い 悲慟の調べを奏でて・・・ いつか果てると知っても 生きていくことが強さと 言った貴女の影は 涙霞に消えゆく 揺れる星の宿りに 指先で光紡ぐ 比翼の鳥の影は 綺羅星の中へ紛れ 消えない傷跡は 今は記憶の中で眠り 過去を想うあまり 現実の光さえも・・・ 見えない・・・ 虚像の世界に身をゆだねながら 枕辺を濡らした日々を切り裂いて 葉擦れに消された想いを抱きしめ 今宵も星空の下で・・・ 手の中で散った瑞華握り締め 虚空に放った言の葉積もらせて 吹き過ぐ朔風に悲しみを流し 今でも今でも貴女を・・・ 月冴ゆ夜空に手を翳しながら 緋色の絆を今も信じ続け 貴女と出会った思い出の場所で 貴女を何時までも待とう
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