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海が、普段は穏やかな姿を一変させて、大きなうねりをあげている。
波同士が激しく打ち付けあい、濁音を響かせながら、全てを巻き込むかのように、大きく揺れている。
そんな海の中、一つの影が、暗い、暗い海の底へと沈んでいった…。
影は人の形をしており、若い人間の青年であった。
どんどん海面が離れていく。
その海面に向かって、無数の泡が上っていく。
息ができない
苦しい
苦しい…
青年は死を覚悟する。
けれど
意識を手放す瞬間
ぼんやりと、何者かの姿を、青年はとらえて…………
そのまま意識を失った。
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