序章

2/2
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
海が、普段は穏やかな姿を一変させて、大きなうねりをあげている。 波同士が激しく打ち付けあい、濁音を響かせながら、全てを巻き込むかのように、大きく揺れている。 そんな海の中、一つの影が、暗い、暗い海の底へと沈んでいった…。 影は人の形をしており、若い人間の青年であった。 どんどん海面が離れていく。 その海面に向かって、無数の泡が上っていく。 息ができない 苦しい 苦しい… 青年は死を覚悟する。 けれど 意識を手放す瞬間 ぼんやりと、何者かの姿を、青年はとらえて………… そのまま意識を失った。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!