6人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
たくさんの泡が上っていく中、一際大きな泡のかたまりを見つける。
急いでそこに向かえば、そこにいたのは一人の人間の青年。
顔を見れば、微かに開いた口から泡が上る。
まだ生きてる!
肩を抱えて、なんとか海面までつれていく。
海上はまだ荒れていて、波にひどく煽られる。
かろうじて息はできそうだけど、青年はぴくりとも動かない。
とにかくどこか安全な場所につれていかなきゃ!
ただひたすら、触れた部分から微かに感じる温もりを、失わないために必死になった。
白い砂浜に波が打ち付け、太陽が雲の間からのぞき、光がふりそそぐ。
砂浜には青年が横たわっていた。
そしてその傍らには人魚。
良かった……まだ生きてる。
胸に耳をあて、感じる鼓動と温かさに安堵した。
ちゃんと息もしてる
口元に手をやれば、微かな風を感じた。
しっかり生きている証を感じて、ようやく安心できた。
これなら、時期に意識も戻るだろうとふんで、海に戻る。
そしてぐるりと島を一周してみる。
そこは小さな島らしく、人の気配は感じられなかった。
どうやら無人島につれてきてしまったらしい……。
でも他に近い島なんて……ないよね
辺りを見渡しても、そこには見慣れた海ばかり。
仕方ない、と諦めて、岩場の影から様子を伺ってみる。
最初のコメントを投稿しよう!