5 未来の心

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こんな事は、こっちに来てから初めてだった。 真があんな風に怒った事なんて、今まで無かったから…… 「……本当に…なんでも無いのに…」 私は手摺りに持たれる様にして、ボンヤリと窓の外を眺めていた。 …………………………… ………………………… ガチャリ 「…―ふぅ」 私が一つ小さく深呼吸をして玄関のドアを開けると、中は真っ暗でシーンと静まり返っている。 ただ玄関口には、真の靴が乱雑に脱ぎ捨てられていて……帰宅は、しているようだった。 「…ねぇ……帰ってるんでしょ? ……真?」 そう言って奥まで入ると、真は既にベットに潜り込み軽い寝息をたてていた。 「……寝ちゃたの?」 「…――――」 「もうっ!……ホントに子供なんだからッ」 そう言って私は、ベットの端に腰を降ろすと、そっと真の髪を撫でた。 .
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