淡く薫る、桃の匂い

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「クスッ... 私の事知らないみたいだね」 はい、その通りです。 と、祐は心の中で納得する。 どうやら、 彼女は…祐の心を読み取っていたようだ。 「私は、結綺 蓮。 ちなみに、同じクラスだよ?」 えっ。 と、祐は小さな声で驚く。 「本当に知らなかったのかぁ。 ちょっとショックだなぁ..ははっ まぁ、いいや...今日から覚えておいてねっ!! あっ.....もし、良かったら アドレス交換しない?」 と、蓮は言いながら携帯を取り出す。 「いいよ。」 と、祐は直ぐに答え、蓮と同じく携帯を取り出した。 ──………── 〝次は〇〇駅ー〟 「あっ.....もう、降りなきゃ!! アドレスありがとうね♪ また明日、松浦君」 バッグを持って、 颯爽と行ってしまう蓮に 祐は慌てながら、 「あ、ぁあっ!! ま、また、なっ!!」 と、噛みまくりながら言う。 あまりにも噛みまくりだった為か…祐は少し照れていた。 そして 彼女いなくなってからの祐は.... 空を見つめ、少し赤面しつつ.... 静かに高鳴る胸の鼓動の、 音を聞いていた... そして、まだ微かに薫る桃の匂いに祐は… ゆっくりと夢の中に落ちていった。
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