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空になったエリックのコップに、ジュリアが酒を継ぎ足した。
「サンキュ」と短く礼を言いそれを一口、口にするエリック。
「ちょっと話、聞いてくれるか」
エリックのその言葉に、ジュリアは黙って頷いた。
ロザリオをつまみ上げ、眼前に吊してみる。火に照らされ鈍い赤色に輝いている。
「別れたのか、死んじまったのか知らねーけど…俺には親父が居なくてな。母さんと二人で暮らしてたんだ」
先程までの笑顔は無くなり、真剣な表情を浮かべるエリック。
それどころか、悲しげにすらジュリアには見えた。
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