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「…また、あの昔話してるみたいだな。あのオッサンら」
エリックが呟くと、ジュリアは苦笑した。
「あたし、十回は聞いてるな。あの話」
「俺はその倍は聞いてるだろうよ」
眼下の炎を見つめながら微笑むエリック。その横顔を眺めながら、ジュリアも笑顔を浮かべた。
「…落ち着いたみたいね?」
「…あぁ。すまねぇな、一人で盛り上がっちまった」
酒を口にしようとしたが、コップには僅かしか残っていなかった。それを飲み干すと、瓶に手をかける。
「飲み過ぎなんじゃないの?」
「ほっとけよ」
コップに酒を注ごうとし、瓶まで空になっていることに気づいた。
飲み過ぎというのもあながち外れてはいない。
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