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ヒコロウは明らかに間違ったことをしようとしている、だがジュンジは今のヒコロウの背中に同情を感じてしまった。
「男がチョロい生き物だっていうなら分からせてやるっ。
浮気で復讐だ!」
ヒコロウの目は冗談を言っているような目ではなかった。
正に自らが決心の塊となっているかのようだった。
しかし、
「ホンマ気持ちはよう分かるけど、お前浮気したことあるんか?」
ジュンジが顔を覗き込むとヒコロウは固まった。
「・・・・・・・・ない。」
大体予想はついていたが、ジュンジはガックリとなった。
二人は駅から離れしばらく歩いた。
互いに何も喋らなかったが、分かれ道に近づくとジュンジが口を開いた。
「まぁそう悪い方に焦らんと、ヒコは純粋なままでええって。
お人好しなお前が浮気なんてできるわけないんやし。」
ジュンジはチラッと横目でヒコロウの顔を伺ったが、しかめっ面したままであった。
そのまま分かれ道でヒコロウとジュンジは別れた。
互いにバイバイとは言ったもののヒコロウはジュンジの顔に見向きもせずに帰路を辿った。
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