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その後ジュンジは家にたどり着くまでの数十メートルの道のりの間、ぽつんと頭の中に浮かんだ言葉、
“浮気”
そしてまれに見ないヒコロウの凄まじい気迫と怒りの表情。
「・・・・・・まさか、なっ。」
ジュンジは玄関の前でハハッと笑ったが、わずかな不安が完全にぬぐいきれていなかった。
次の朝。
ジュンジはあのT字の分かれ道でヒコロウを待っていた。
ちなみにヒコロウとジュンジは学校のある日は毎朝一緒に登下校をし、遊ぶ時の待ち合わせ場所などでもこのT字を利用する。
亀のようにとろとろ歩いても遅刻しないぐらい時間には余裕があるが、ジュンジは何度もヒコロウのやって来る方向の道ばかり確認した。
昨日のヒコロウはいつもと違っていた・・・・・
いや
それでもヒコロウはお人好しだ。
相手が傷つくような浮気(こうい)などするはずがない。
またいつものように笑顔でこの道から駆け寄ってくることを信じながらジュンジはただ一本道の遠くを見つめる。
すると、
「ジュンジ遅れちゃった!」
笑顔で駆けてくる純真無垢な童顔高校生、そしてその手には、
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