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とある学校の教室。
黒板に“自習”という文字が書かれているにも関わらず、教師のいない教室内は生徒たちの雑談で混沌としていた。
だがやはりその中でも目立って聞こえてくるのはお喋り好きな女子の話し声。
「昨日のMスタ見た?
タトゥーンの青西君ちょーかっこよかったよね―!」
「うん!
でもあたしは雨梨君派かな。
背も高いし、あの顔で迫られたらもうっ!」
「そういえばリナ彼氏できたんだって!?」
「え!
リナ、マジでっ!?」
「うん!
先週の日曜告ったらOKもらった!」
「おーーー!」
「おっ、早速筆箱にらぶらぶプリ発見!」
「ちょっ。」
「えーっイケメンすぎ!」
「てかC組のタクヤ君じゃん!」
「バスケ部でしょ?
運動神経抜群で確か中学の時も県大会2位で―――――」
「女なんてもううんざりだ。」
その話し声を横で聞きながら高校一年生の上原ヒコロウは机に肘をついて生気のないような目で窓の外を眺めていた。
外はいくつもの白く巨大な入道雲がもくもくと青空に山を作り、夏を想わせるような風景が出来上がっている。
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