浮気王子

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ヒコロウはうつむいた。 「でも、僕浮気したことないですし・・・・。」 「そんなもん当たり前だ。 誰だって最初浮気する前は“初めて”なんだからな。 浮気じゃなくても他の事だってそうだ。 だが、浮気はそれらと違って“教わるもの”じゃない。 てめーの意志と判断でやるもんだ。 違うか?」 ヒコロウは言葉も出なかった。 するとキョウスケはため息をついて立ち上がった。 「まぁそういう事だ。 じゃあな。」 キョウスケは携帯をいじりながらヒコロウを横切り、屋上のドアへと歩いていく。 「お願いです。」 ヒコロウは最初のとは違って小さな声でいった。 「お願いです。 ・・・・お願いです。」 「しつこいぞ。」 あまりのしつこさにキョウスケは振り向いた。 すると、“目の前に”ヒコロウはいなかった。 「・・・!」 キョウスケが下を見ると、そこには土下座しているヒコロウがいた。 「お、おい! 何してんだよっ。 やめろよっ。」 キョウスケは思わず携帯をポケットにしまい、ヒコロウの手を掴んで土下座をやめさせようとした。
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