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「・・・・憂さ晴らしか?」
「そうですよ・・・
悪いですか。」
ヒコロウ顔を上げてキョウスケをにらむ。
「でも・・・・心の底では女がみんなそういう人ばっかりではないってことぐらいわかってるんです。
だけど、自分は今までお人好しだと言われてきました。
お人好しが“汚れたい”って思うことは・・・・おかしいですか・・・?」
ヒコロウはいつもそのお人好しっぷりで特に恋愛で損をしてきた。
何回浮気されても次は大丈夫だと、これだけ精一杯尽くしてきたんだからきっと報われる時がくると信じてきた。
だがもう限界だった。
もういっそそのお人好しさで人を欺きたいと思ってしまったのだ。
「復讐は何も生まないって聞くけどな。」
キョウスケはただ無表情にヒコロウを見下ろす。
「自己満足ですよ。
もうお人好しだなんて・・・・言われたくないです。
女がどういうものなのかも・・・・もう全然わかりません。」
その言葉はキョウスケの頭の中に何かをよぎらせた。
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