four-turn

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血 それはアカイアカイ生命の略図。 それはイトシイ麻薬。 あの原初の赤は とても人のモノとは思えない。 まさしく神々の美酒。 万物を犯す淫らな「魔」。 「あぁ、こんなにもきれいだ」 赤の世界に音が響く。 声がする方向を見てみると、 そこに立っていたのは 俺だった。 目が覚めた。 正確には起こされた。 口の中は血の臭いが残っていて、 爽快感とは真逆のものが 胸に拡がっている。 気持ちが悪い。 悪いユメ それでは、とてもじゃないが 片付けられない。 改めて後悔する。 死んでしまったことに、 助けられなかったことに。 時計は 午前四時をまわったばかり。 暗い部屋には俺しか居ない。 犯人を恨んでも、 自分を憎んでもない。 ただ黒い塊は 心を染め上げていく。 7時を過ぎ、 朝食を食べていると 和葉がやってきた。 その後、5分もたたず 昨日の再現が成されたが、 三人とも笑顔を浮かべていたので 大丈夫だと思う。 たぶん。 「君が二ノ宮秋人でいいかい?」 三人は学校に向かい 俺は病室で暇を持て余していた。 鋭い声が刺さる。 凛々しい姿で その人は俺を見据えていた。
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