two-turn

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「いただきます」 ご飯を口に運ぶ。 特に会話があるわけではない。 テレビはついているし、 食事中しゃべっちゃいけない なんてルールもない。 ただ、 話すことが無いだけだ。 黙々と食べ進めると、 二十分もかからずに食べ終わる。 「ごちそうさま」 「おそまつさま」 礼をして、食器を台所に置く。 学校に行くには余裕があるため、 俺はお茶を飲んでた。 和葉がテレビを見ていると、 「ねー、 これ隣町のことだよね?」 「え?」 疑問に疑問で 返してしまったのだが、 テレビに目をやると 確かに 隣町の事が報道されていた。 だが、その内容は 穏やかなものではなかった。 『昨夜、 真日市郊外の住宅街に住む、 安藤紗弥さん17歳が、 刃物で刺され 死亡しているのが 近くに住む住民によって 発見されました。 紗弥さんは、……』 物騒なこともあるものだ。 しかし、隣町のことだし、 危ないとは思いつつ、 そこまで気にしていなかった。 一様和葉に 一言声を掛けようとして…… 「なッ!」 テレビに映る顔写真に 驚きを隠すことができなかった。 なぜなら、 俺は彼女を知っていたのだ。 つい三日前のボランティア活動で 一緒の班だった人物。 同じ高校の同じ学年。 それだけで、 さっきの認識が改まる。 どこか遠くの事に思っていたが、 身近にある、 と感じさせられた。 そんなことを考えていたせいか、 和葉が小さく笑ったのに 俺は気が付かなかった。
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