two-turn

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学校に着いてからも この妙な罪悪感は消えなかった。 俺は全く 関係のない第三者でも、だ。 安藤紗弥はいい人だった というのが俺の印象である。 三日前のことを振り返れば そうとしか思えない。 ボランティア、 と名ばかりのゴミ拾い。  俺を含めた参加者のほとんどが 面倒くさがっているなか、 彼女だけは違った。 その懸命に煙草の吸い殻を 拾う姿には、とても心打たれた。 話してみると、 やっぱり清らかな人だった。 ゴミ拾いも終わり、 解散するときも また、次のボランティアで と言っていた。 なんで彼女が、 その疑問は尽きない。 「よ! どうした? そんな小難しい顔して」 「いや、今朝のな……」 「あー、さっきの集会のか?」 「あぁ」 俺としゃべっているのは、 友人の菅原優作。 陸上部のエースで、 次の大会の優勝候補だ。 「知り合いか?」 「まぁ、 この間のボランティアでな」 「ふーん。 ……どうせお前のことだ、 罪悪感とか感じてたんだろ?」 図星だった。 なんでこうも 的確に突いてくるのだろうか。 「鋭いなぁ」 「当たり前だろ。 まぁ、 気にするなとは言わないけどさ、 まわりに心配かけさせんなよな」 じゃな、と言って 自分の席に戻っていった。 あいつなりに 気をつかってくれたのだろう。 優作の厚意に感謝をしていると、 「二ノ宮はいるか?」 自分が呼ばれたのを聞いた。 教室の入口を見ると、 そこには、 我らが生徒会長様が立っていた。
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